子供の看病で困ったときは

子どもの熱

お熱の測り方

熱のようすを教えてください

いつ何度ぐらいあったかは、大切な情報です。忘れないでメモしておいて、主治医に教えてください。

どこで測るのか

わきの下や耳の穴などで測ります。肛門で測る場合は、わきの下より0 . 5~1.0℃ほど高くなります。いつも同じところで測ってください。

電子体温計・耳式体温計と水銀体温計

水銀体温計は正確ですが、5分以上はさんでおくことが大切です。
短時間で測れる電子体温計・耳式体温計は便利ですが、水銀体温計よりいくぶん高く(または低く)出ることがあります。
正常体温(わきの下)
乳児 36.3~37.4℃
幼児 36.5~37.4℃
学童 36.5~37.3℃

健康な子どもの体温
  • 体温は1日中同じ温度ではありません。朝は低めで、夕方は高めです。
  • 運動をしたり食事をしたあとは、体温が高くなります。
  • 赤ちゃんは厚着や暖房などの影響で、高く計測されてしまう場合があります。おかしいなと思ったら時間をおいて、もう一度測ってみましょう。
熱がある?平熱?
  • 平熱がどのくらいかを知っておきましょう。元気なときに1日4回 (朝、昼、夕方、寝る前)、食事前の安静な状態での体温を測ります。
  • 平熱より1℃以上高ければ、熱があると考えてよいでしょう。

病気のときのお風呂

熱があるとき

熱が高くてつらそうなときは、お風呂はひかえましょう。熱が一時的に 下がったときに、汗をさっと流してあげると、気持ちがいいでしょう。

咳や鼻みずが出ているとき

顔色がよく、食欲や元気もある場合は咳や鼻みずが出ていても、お風呂に入ってよいでしょう。

お風呂と新陳代謝

咳や鼻みずが続くからといって、何日もお風呂に入らないのは、アカがたまり、皮膚の呼吸によくありません。新陳代謝を刺激したり  寝つきをよくするなどの効果がありますから、なるべくお風呂に入れてあげましょう。

お薬の飲ませ方

乳児

水ぐすりはスポイドかスプーンでそのまま与えます。粉ぐすりはひとくちで飲める量の湯ざましで溶かし、水ぐすりのようにして与えるか、少量の湯ざましで団子状にして上あごにこすりつけ、その後に、水・湯ざまし・ミルクなどといっしょに与えます。1回量のミルクに粉ぐすりを混ぜると飲まなかったり、ミルク嫌いになったりしますので、少量のミルクに溶かして薬を与え、それからおいしいミルクを与えます。

幼児

水ぐすりも粉ぐすりも、ほかのものになるべく溶かさないで、そのまま与える習慣をつけましょう。今後、薬を与えるのが楽になりますよ。 薬を嫌がるときには、本人が納得すれば何に混ぜてもかまいません。



子どもの便秘・下痢

浣腸の仕方

綿棒浣腸

生後半年ぐらいまでは、綿棒による刺激でよいでしょう。
①綿棒の先にオリーブ油などの潤滑油をつける。
②肛門に浅く(綿の白い部分がかくれるくらい)差し込んで 肛門の内側を刺激する。

イチジク浣腸

市販のイチジク浣腸には、10ml(乳幼児用)、20ml(小児用)、 30ml(大人用)があります。1歳未満はおむつを替えるときの姿勢で、1歳をすぎたら横むきで浣腸します。
① キャップをはずし、オリーブ油などをつける。
② 細い部分がかくれるまで十分に肛門に差し入れる。
③ ゆっくり注入し、入れ終わったら、おむつやティッシュペーパーで 肛門をしばらくおさえ、できるだけがまんさせる。

下痢のときの飲み物・食べ物

なにを飲ませればよいですか?

水分と塩分の補給が大切です(オーエスワン、アクアライトORSなど)。下痢で失われた水分と塩分をおぎなう必要がありますが、ポカリスエットやアップルジュース、コーラなどは塩分が少なく、糖分が多いのでおすすめしません。また、水分を多く飲むからといって水っぽい便にはなりません。

母乳
吐き気がおさまって飲めるようになれば、そのまま続けましょう。

ミルク
ミルクを薄める必要はありません。飲めるようならしっかり飲ませて下さい。

離乳食
吐き気がおさまって食べられるようになれば、これまで通りの離乳食を続けて、下痢で失われた栄養を補います。うどん、豆腐、白身魚、鶏のささみなどがよいでしょう。
糖分を多く含む飲み物や食品(炭酸飲料、ジュース、ゼラチンでできたデザートなど)は、下痢を悪化させることがあるので避けましょう。

幼児食
吐き気がおさまって食べられるようになれば、栄養とカロリーを補うために食事をはじめましょう。炭水化物(ご飯、うどん、パン、じゃがいも)、豆腐、白身魚、鶏肉など脂身の少ない肉、野菜、果物、ヨーグルトなどを含む食事をおすすめします。
糖分を多く含む炭酸飲料やジュースなどは避けましょう。

下痢のときの飲み物・食べ物

下痢のときの飲み物

水分だけでなく塩分もいっしょに補う必要があります。
塩分(Na)の濃さが、およそ40mEq/l以上の飲み物をおすすめします。

◎お勧め
オーエスワン(50)、ソリタ-T顆粒2号(60)、アクアライトORS(35)、ソリタ-T顆粒3号(35)、みそ汁、スープ

以下は市販のイオン飲料(塩をひとつまみ足しましょう)
アクアライトりんご・白ぶどう(30)
ピジョンイオン飲料(30)
森永イオン飲料もも・りんご(25)

×お勧めしない(スポーツ飲料)
ポカリスエット(21)、アクエリアス(15)、その他のスポーツ飲料やコーラ(9~23)

※(カッコ内)は塩分の濃さ(mEq/l)

下痢のときの食べ物

うどん、豆腐、白身魚、鶏肉、お粥、スープ各種、バナナ、りんご、煮野菜などをおすすめします。

ひどいときはウイルス性胃腸炎(嘔吐下痢症)の疑い

どんな病気?症状は?

ロタウイルスやノロウイルス、アデノウイルスなどによる、うつる病気です。突然吐きはじめ、続いて水のような下痢(レモン色~白色)になります。熱が出ることもあります。発熱や嘔吐は1~2日で治まり、下痢は1週間くらいでよくなります。

どうやって治すの?

薬を処方しますが、家庭での水分補給が大切です。吐き続けるときや脱水が強いときは、点滴や入院が必要になります。

家庭での治療

①まずは水分から:吐き気がおちついてきたら水分を少し飲ませる。
 (オーエスワン、アクアライトORSなど)
②食べ物:「下痢のときの食べ物」の11頁を参考に。

こんなときは早めに診察を

①病院から戻ってからも、吐き続けるとき
②元気がなく、顔色がわるいとき
③唇が乾いていたり、おしっこが少ないとき

次に受診するまでに

家庭で飲んだ水分の量、下痢や吐いた回数などをメモしておきましょう。



子どもの鼻血

鼻血の原因

子どもによくあることです。血液の病気が原因であることはごくまれです。鼻血は「のぼせて」出るわけではありません。鼻をいじったり、ひっかいたりすることで出血します。アレルギー性鼻炎が原因で出血することもあります。一度出血すると、しばらくは鼻を強くかんだくらいでも出血しやすくなります。

家庭でできること

①鼻血が出たら、まず座って、頭を少し前かがみにします。
②出血するのは鼻の入り口から1㎝くらい奥のところです。そこに綿球やティッシュペーパーを入れ、鼻翼をつまんで約10分間圧迫します。

  • 綿球やティッシュペーパーを早めにつめかえると、せっかくふさがりかけた傷口がまたあいてしまうので、いつまでたっても血が止まりません。
  • 頭を後ろに曲げると、鼻血がのどにまわって飲み込んでしまいます。
  • 首の後ろをたたいたり、冷たいタオルで冷やしても、出血を止める効果はありません。
こんなときは病院へ

①10分間圧迫しても止まらないとき
②何度もくり返していて、顔色も悪いとき
③青あざが体に多くみられるとき



伝染病にかかったら

いつから保育所・幼稚園に行けますか?

はしか、みずぼうそう、おたふくかぜなどは、出席停止期間の基準がありますが、手足口病、りんご病、溶連菌性咽頭炎などは、医師によって基準が異なる場合があります。ただ、多くの小児科医は文部科学省の基準に したがって、次のように考えています。

出席停止の考え方

子どもが伝染病にかかったときは、健康回復を第一の目的として休ませますが、感染力が強い病気の場合は、その子の出席を停止することによって、集団の場でこれ以上病気が広がらないようにすることも大きな目的です。しかし、予防方法がある、感染力が弱い、あるいは感染しても大きな健康被害がないと考えられる場合には、いたずらに出席を停止しないで、楽しい園生活ができるよう考慮することが大切です。

手足口病の場合

熱があるあいだや口内炎がひどいときは休ませましょう。熱が下がって、元気になったら登園、登校してかまいません。2~4週間は便や尿からウイルスが排せつされますが、感染力は弱いので登園、登校にはさしつかえありません。

りんご病(伝染性紅斑)の場合

ほっぺが赤くなって診断がついたときには、もう伝染することはないので、出席停止の必要はなく、元気であれば登園、登校してかまいません。
ウイルスの排せつ期間(感染力のある期間)は、発疹が出た1~2週間前の数日間といわれています。

溶連菌性咽頭炎の場合

診断がついてきちんと抗菌薬治療が行われていればほとんどの場合、24時間以内に、感染力がなくなります。
治療を始めて24時間たって熱もなく元気であれば、主治医の許可を得て、登園、登校してかまいません。


参考